公開審査の報告

2008近山スクール住宅コンテスト公開審査 総評


2009年3月25日
長谷川 敬

 昨年に引き続き行われた今回の近山スクール住宅コンテストには、9点の応募をいただきました。
 応募くださった皆さんありがとうございました。
 ところで、はじめに一つお断りしなければならないことがあります。応募要項では、昨年と同じく審査委員の選考により入賞作品を選定することになっていましたが、今年は選考方法を少し変え皆さんと一緒に公開で作品の評価をしようということになったことです。その理由は、昨年の入賞作品のような完成度の高い作品のみが選定されるのでは、一般的に厳しい条件の中で仕事をしている人、あるいは未熟な若い人には応募しがたいという声が少なからずあったからです。
 このコンテストの主旨は、そもそも皆さんが日常行っている仕事の成果を持ち寄り、相互の勉強を生きた材料にしようというものであり、単に優秀な作品を表彰するということだけではないのです。そこで今年は審査委員と皆さんが一緒に行う合評会で作品の評価をしようということになりました。
 講座の終りにお知らせした通り、すでに3月14日に審査委員と受講生の有志が一緒に応募作品を閲覧しました。続いて3月28日に、コンクールの応募者の皆さんにも出席いただき合評審査会を皆さんと一緒に行いたいと思います。それぞれの作品から我々は何を学びとれるか、またどのような評価を下すのか、その結果が期待されます。
 どうか皆さん奮って参加」してください。

 さて、このようなわけで各作品の評価については各審査委員それぞれの評価と皆さんの会場での評価を待ちたいと思いますのでここでは応募頂いた作品についての概略の印象を述べさせていただきたいと思います。


3月24日の公開審査の様子
 まず、第一の印象は、今回はどの作品のレベルも大変高いということです。その意味では、日常の仕事を持ち寄る勉強会という主旨は、途中からのこともありあまりうまく伝わらなかったのかも知れません。また、規模の大きな家が多いことに驚きました。これは、二世帯住宅が9件の中に4件もあったことによるものでしょう。高齢者同居も含めると5件になります。同じ二世帯住宅と云っても、2階も含めて家を2つに分けているもの、あるいは1階と2階に住み分けているもの、また、キッチンと風呂等の水廻りを共有するもの、全く分けて2セットづつあるもの等いろいろです。これは、施主の希望と家庭の事情によるものでしょうが、二世帯住宅というものを考える上での問題とそれに対する回答がいろいろなかたちで提示されているように思います。


構造についての議論
 次に視点を変えて構造を見ますと、伝統的な構法を採用しているものが7件、在来工法が2件でしたが、それぞれに大変精緻に検討され高レベルのものも、ちょっと散漫に見えるものもありました。どちらの構法をとるにしても、単なる壁量や、梁や柱の大きさで耐力を充たしているだけではだめで、力の伝わり方、受け方をきちんと捕え欠点のない構造にしなければならないのは云うまでもありません。
 そして何よりも木造住宅の場合、構造がプランニングや、空間の構成にシックリあっているかが問題でしょう。木組みは構造であると同時に、豊かな空間をつくる手段なのですから。


作品閲覧の様子
 最後に、住宅をつくるプロセスを見ますと、家族そろって山に木を選びに行ったり、何年もかけて木を集めてり、産地との緊密な関係の中で木を調達したりとユニークな素材の入手の仕方をされている方たちがいました。また、家族で建設の一部に参加したり、職人さんたちと親しく交流したりして、いかにも楽しく家づくりをされた様子が伺える家もありました。それには相応の時間と努力を要したが、豊かな家づくり、そして良い家とは何だろうかと、深く考えさせられるものがありなした。それぞれに多くのことを読み取れる作品でした。

応募者一覧

五十音順
氏名 所属 作品名
宇野勇治宇野総合企画事務所池の見える家
大沢正美富士ソーラーハウス町とつながる家
菊池祐司菊池建築事務所東本町の平屋
清水康国しみず建築工房森の板倉
田口隆一ARU田口設計工房鴨川の家
永添一彦永添建築設計狭山の家
村上聡シミズ工務店高麗の家
山崎康二直井建築工房板橋の家
山下晋一こころ現代民家研究所ろくにんの家


Midori Kitajima