近山スクール東京ニュースNo26

2010年10月15日 近山スクール東京
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共催:芝浦工大オープンテクノカレッジ

第1回講座『現代木造住宅の問題と「目利き」の方法』の報告



 先日10月9日(土)、芝浦工業大学にて、近山スクール東京2010の第一回目、現代木造住宅の問題と「目利き」の方法が開催されました。


目あら(左)と目つみ(右)


 まず開講にあたって、近山スクール東京代表の長谷川敬氏より、現在主流の木造住宅のつくり方がはたして本物の木の家といえるのだろうかという疑問が投げかけられました。
 これまで工業化の推進と経済効率の追求を重視してきた結果、世の中はずいぶん便利になり、人々は大きな恩恵を受けてきました。しかし、現在の大勢を占めている過度に工業化され効率一辺倒の木造住宅は、生物としての人間の「衣食住」を本当に満足できるものなのだろうか、また、待ったなしの地球環境の問題を考えると、山を生かし自然の木を生かす日本の木造文化は、むしろ未来の社会モデルとして評価されるべき点が多いのではないだろうか、望ましい本物の木造住宅を皆さんといっしょに考えたい、と挨拶されました。


 前段は、芝浦工業大学教授で近山スクール東京の運営委員でもある蟹沢氏が「目利き」とは何なのかということを豊富な写真を見ながら多面的に解説されました。
 昔の大工たちが残した見事な細工、現代の家具職人のこだわり、優れた大工の技能と構造強度など、蟹沢氏ならではの視点から「目利き」について語られました。
 蟹沢氏の話を要約すれば、「目利き」とは単に良いモノを見分ける力があるということではなく、それを生み出した人たちの努力とこだわりを理解して評価し、彼らときちんとコミュニケーションをとって、さらに良いものを生み出していくことである、といえるでしょう。
 一生の買い物でありしかも一品生産である家づくりにおいて、建て主にとってこれほど大切なことがあるだろうかと感じました。



数十年を経て隙間ひとつない細工


 後段は、飯能の西川材を扱う協同組合フォレスト西川の理事長で近山スクール東京の運営委員でもある大河原氏が木材の「目利き」について話されました。
 会場にはたくさんのサンプルが持ち込まれ、樹種の違い、樹齢の違い、乾燥の違い、目つみと目あらの違い、産地の違いなど非常に多くの視点からの解説がありました。受講生はサンプルを手にして、見て、触って、においを嗅いで、それらの違いを体験することができました。
 またそのほかにも、JAS等級、乾燥、流通、プレカットなど非常に多くの話題が提供され、受講生からの質問に対しても丁寧かつ確実に答えていました。
 木材を提供する側からしても、注文を受けた木材がどこにどう使われるのか、顔の見える関係でやり取りできればもっと良い家づくりができるのではないかと感じました。


 近山スクール東京では、昨年から長寿命住宅というテーマを取り上げていますが、どんなに丈夫に作った建物でもメンテナンスをしなければ長く使うことはできませんし、逆にどんな建物であっても補強やメンテナンスに力を入れればそれなりに長く使えます。すなわち本物の長寿命住宅とは、「この家を建て替えたくない、しっかりメンテナンスをして住み続けたい」と思えるような建物でなければなりません。
 国や行政は長寿命住宅のハードやメンテナンスの基準を決めることはできても、人々の好みやこだわりにまで口をだすことはできません。しかし、本当に長寿命住宅を実現するためには、そうした基準だけでは不十分で、住む人から愛される「本物の家づくり」が必要なのだと思います。現存する古い建物がなぜ今も残っているのかを考えると、その理由は頑丈だったからではなく、良いものとして大切にされてきたからであることは明らかです。
 今回のテーマ「目利き」は、良いものに対するこだわり、それを実現しようとする努力に関することで、「本物の木の家づくり」講座としての第一歩となりました。

 さて、次回は『トラブルから学ぶ「長持ち」する家の基本』と題して11月13日の開講です。情報が表に出にくいために、なかなか目にすることができない住宅のトラブルの実態に迫ります。住宅のメンテナンスを考える上で必見です。まだ近山スクール東京2010に申し込んでいない方も、途中からでもかまいませんので、ぜひこの機会にお申込みください。定員に余裕がありますのでまだまだ募集しています。

Midori Kitajima