近山スクール東京ニュースNo17

2008年 5月16日 近山スクール東京
177-003 東京都練馬区富士見台3-24-10 (事務局)
tel:03-5971-2309 / fax:03-5971-2329
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共催:芝浦工大オープンテクノカレッジ/財団法人 日本住宅・木材技術センター

3月29日 特別講座の報告


講座 「改正建築基準法にともなう木造住宅設計の留意点」
講師 山辺豊彦氏 有限会社 山辺構造設計事務所代表


 今回行われた特別講座は、昨年12月15日第3回講座「木構造講座・初級編」(ニュースNo.13を参照)に続き、改正建築基準法における建築確認申請の対応についての解説と、その際に役立つ構造計算問題の演習を行いました。

■ 改正建築基準法における確認申請の対応

 建築士が設計した四号建物に対する「確認の特例」の廃止が予定されており、下記の表(図書II)にあげる図書の提出が必要になりますが、その実施は大幅な混乱が予想されるため先延ばしになっており、いつになるかはまだわかりません。しかし、瑕疵担保責任保証の関係で、こうした図書の作成が求められることも十分に考えられ、準備しておかなければなりません。

図書II
図書の種類 明示すべき事項
床面積求積図 ・床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法及び算定式
2面以上の立面図 ・縮尺・開口部の位置
・延焼のおそれのある外壁及び軒裏の構造
2面以上の断面図 ・縮尺・地盤面
・各階の床及び天井の高さ、軒及びひさしの出ならびに建築物の各部分の高さ
地盤面算出表 ・建築物が周囲の地面と接する各位置の高さ
・地盤面を算出するための算定式
基礎伏図 ・縮尺並びに構造耐力上主要な部分である部材(接合部を含む)の位置、寸法、構造方法及び材料の種別並びに開口部の位置、形状及び寸法
各階伏図 同上
小屋伏図 同上
2面以上の軸組み図 同上
構造詳細図 ・屋根ふき材の種別
・柱の有効細長比(令43条に適合していることを確認できること)
・構造耐力上主要な部分である軸組、継手又は仕口等の構造方法
・外壁のうち、軸組みが腐りやすい構造である部分の下地
・構造耐力上主要な部分である部材の地面から1m以内の部分の防腐又は防蟻措置
仕様構造材料一覧表 ・構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質
基礎・地盤説明書 ・支持地盤の種別及び位置
・基礎の種類
・基礎の底部又は基礎ぐいの先端の位置
・基礎の底部に作用する荷重の数値及びその算出方法
・木ぐい及び常水面の位置
施工方法等確認書 ・打撃、圧力又は振動により設けられる基礎ぐいの打撃力等に対する構造耐力上の安全性を確保するための措置
壁量計算書 ・令46条第4項に規定する基準への適合性を確認できる計算書
接合金物図面 ・令47条第1項に規定する構造方法(平成12年告示1460号)の適合性を確認できるもの



 講座では、これらの図書の内容について、問題となる点を具体的に挙げながら解説されました。また、これに関連して、スウェーデン式サウンディング試験のデータの読み取り方と、実際に予想される沈下量の推定を行うという演習を行いました。また、木造の梁のたわみの算定方法についても演習を行いました。
 演習以外では、含水率とクリープ変形の相関関係を示すグラフやこれらを考慮した梁成決めの目安や、耐力壁の配置と梁に発生する軸力の関係を示すケーススタディなど、気になることにも触れていただいて参考になりました。
 基準法改正が進む中で、地域材の家づくりの現場に携わる者に何が求められているかを意識する重要な講義でした。


4月19日 フィールドツァー in 飯能の報告




グレーディングマシーンの説明を聞く
 午前中、協同組合フォレスト西川芦刈場工場のグレーディングマシーンを見学して、打撃式・木材の強度実験を体験しました。



右が深谷教授
 午後は、大河原木材ストックヤードに会場を移し、日本大学芸術学部建築デザイン科の深谷基弘教授の「棟梁に学ぶ家」と題して、棟梁から学んだ35年間の歴史について講演しました。その後、深谷教授の学んだ8人の棟梁の一人、清水棟梁と掛け合いで、5分の1模型を解体しながら、清水棟梁の家づくりで一番大事にしていることや弟子に対しての教育などについて語り合いました。5分の1模型は、日本大学芸術学部建築デザイン科に学び、清水棟梁に弟子入りした村上さんの作品です。



大河原氏の説明に聞き入る
 参加者からは、グレーディングマシーンや打撃式の強度実験など実際に見ることができてよかった。ものづくりにたずさわる者にとって現場に立つことは何よりも大事なことだという感想も寄せられました。当日は、深谷建築デザイン研究室の学生さんたち20数人も参加しました。
 大学で伝統工法を教えている先生の存在を知って、大変驚いたと話してくれた設計者の方がいました。その方が、学生さんの一人に聞いたところ、深谷先生の授業は1年からあるとのことでした。大学で4年間も伝統工法を学べば、村上さんのような大学を出た大工棟梁が育つし、また大学で伝統工法のことを教える意義の大きさも実感したと言っていました。
 なお、深谷教授の講演は、近山スクール東京にとって初めての講演でもあり、講演の概要については後日ホームページに掲載の予定です。



5分の1模型と清水棟梁


4月26日 第1回近山住宅コンテスト発表会の報告


 4月26日午後1時30分より、第1回近山住宅コンテスト発表会が芝浦工大教室棟303号教室で開かれました。はじめてのコンテストには「最近2年以内に国産材を使って建てた木造住宅を対象」にした作品が16人の設計事務所、工務店などから17作品の応募がありました。
 長谷川審査委員長の経過報告と受賞者への賞状と賞品が授与され、次のような審査結果についてのコメントがありました。
「入賞された方は、工務店の設計施工で質の高い住宅をつくっておられる方、設計者が長年にわたって直営でお施主さんを助け職人さんとじかにつくるやり方で質の高いものを提供しておられる方、構造的にも非常に素直に伝統的な木組みで、あまり主張することなく、プランニングもバランスが取れている方など3人が選ばれました。」


持井工務店 村上圭吾氏
『玄関土間のある住まい』

永添一級建築士事務所 永添一彦氏
『土間と薪ストーブのある家』

(株)シティ環境建築設計 高橋昌巳氏
『里山の家』

審査委員長 長谷川敬氏

 長谷川審査委員長から4人の審査員の紹介がありました。
【黒岩千恵氏】 2007年度の受講者で中学・高校の先生です。これからは皆さんにも審査委員になってもらいたいとの期待もあってお願いしました。
【平山友子氏】 住宅のライターで住宅をたくさん見ておられ、雑誌などに書かれています。講座ではいつも司会役をお願いしていました。
【植久哲男氏】 「住宅建築」の編集長を長年やってこられた方で、住宅については非常に目利きです。
【山辺豊彦氏】 山辺さんの「構造」を通らないとまず陽の目を見ないというのが審査委員会でいつのまにか了解事項になったくらいです。点数は入っても構造に難がある作品は結果的には選ばれませんでした。

山辺豊彦氏による構造解説

 発表会では、3人の入賞者を含めて、参加された応募者から全員自身の作品について、プロジェクターで、外観・内観・構造の見える写真と平面図・立面図を映しながら、それぞれ説明があり、また、4人の審査委員からは講評が披露されました。

 応募された作品は、いずれも木造住宅として質の高い作品ばかりでした。参加者は、応募者からの説明や審査委員の講評を聞き、これから、お客さんに質の高い木造住宅を提供するうえで、どうやって良い木造住宅をつくっていくか、これからの木造住宅の在り方など含めて大変勉強になったという声も聞かれました。勉強になったのは審査委員の方かもしれませんという話にもなって、参加したそれぞれの立場で、勉強会的色彩に彩られた集まりとなりました。参加者には17作品の講評集が配布されました。




Midori Kitajima