近山スクール東京ニュースNo13

2008年 1月22日 近山スクール東京
177-003 東京都練馬区富士見台3-24-10 (事務局)
tel:03-5971-2309 / fax:03-5971-2329
E-mail:tokyo.scool@chikayama.com / URL:http://tokyo.school.chikayama.com
共催:芝浦工大オープンテクノカレッジ/財団法人 日本住宅・木材技術センター

12月19日第3回講座の報告


第1、2講座 「木構造講座 初級編I、II」 講師 山辺豊彦氏


 建築基準法の改正点について、木構造の基本を中心に講演した山辺豊彦氏の内容のポイントについて報告します。



■ 確認申請が通れば家はこわれない?

 今回の建築基準法の改正は広範囲で、かつ確認審査が厳しくなりました。そのことが逆に建主さんには、確認申請が通れば家は安全で壊れないと思わせています。山辺氏は今回の建築基準法の改正は国交省の前宣伝が効いて、消費者に誤解を与えるような世論を作り出している。そこを建築家が正確に改正点を踏まえて正しく説明していかなければいけない問題だと指摘します。建物の安全について建築基準法は最低限のことしか決めていないことを説明しなければならない。建築基準法の基準を最低限遵守した建物が大地震時に大きく損傷する可能性があることを…。もちろん生活している人の生命は守る主旨ですが。建物の安全性とコストの関係など…。このあたりのことを建主さんにきちんと説明することが求められてきます。そうした点を十分踏まえて法の理解と木構造の基本をしっかり押さえることを強調しました。

■ 木造の発達を阻害

 関西では伝統型の建物は限界耐力計算を利用し積極的に活動されてきました。改正前までは大きな地震がきても木造の変形に対する制限は無かったが、改正後はRCの建物を厳しく制限したように、木造にも層間変形が30分の1に決められたため限界耐力計算のメリットが少なくなりました。伝統木造というのは粘りがあるというのが特徴でしたが、それが生かされなくなってしまうことが最も木造の発達を阻害する原因になったと山辺氏は指摘した。

■ 構造規定を理解する

2階建以下で500平米以下の建物は一級建築士であれば構造設計を図書省略制度で確認申請に必要としなかった。その特例制度によって耐震性の低い建物が多く見られたためその制度を原則廃止し、壁量の計算、バランスのチェクとか基礎の検討をしなければいけないこととなりました。当然と言えると思います。また、スウェーデン式サウンディング試験機のデータ・長期許容支持力換算表や自沈層の圧密沈下量などから読み取って、ベタ基礎か布基礎かを採用する根拠を出せはよいと思います。いずれにしても、最低限設計者として建物の安全についての構造関係諸規定に配慮すべきだと思います。


■ 木材の性質を知ること

 木材の性質を知ることは大事です。今回の改正で構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質を明示しなければなりません。木材の基本的性質で最も注意すべきことは、収縮と強度の2つの異方性があることです。収縮の異方性というのは曲がる、反る、ひび割れが生ずることでその現象があらわれます。強度の異方性は繊維方向が強く、半径方向は弱いなど方向によって強度が異なる性質で、これらをはっきり認識することが大事です。木材が乾燥して収縮すると構造に影響を与えます。例えば、梁にかかる小梁が腰掛け蟻などの接合の場合、梁が乾燥によって痩せると抜けてきてかかりが少なくなってしまう現象が生じます。天乾した柱で背割りしてあるのは、木材の芯の部分の含水率を低くするためですが、背割りをすると反るからという人もいます。背割りをしないと収縮の異方性によって木材は割れますが、それは自然なことです。高温乾燥の場合は、外周部を固定化しますから固められ、その後に内部の水分を抜くから内部割れが生じます。また、通し柱の四方差しの場合は仕口の断面欠損が大きいため4寸角では小さいと思います。少なくとも柱の太さを5寸角以上の断面にしたいと思います。


■ 木構造の基本を押さえる

 一般的に構造を考えるというと難しい計算をイメージされるため、入り口で拒否反応を示される人が多いのですが、木造住宅の構造の基本構成が、柱・梁の軸組と耐力壁と床組・小屋組みの3つの要素と、それぞれを結ぶ接合部で成り立つということと、この3つのバランスを保つのが木構造の基本だということをしっかり押さえることです。
 床の剛性が低ければ、壁倍率の低いものを分散して配置して設計することによってバランスがとれた建物ができます。伝統型の建物は、床の剛性が低く、壁倍率も低いから接合部はカチカチに固めなくとも長柄、込栓程度でバランスが取れます。これに対比して木造ドミノのように外壁のみのスケルトンインフィルの建物は壁倍率も高く、床の剛性も高く固める必要があります。


図面の種類明示すべき事項
基礎伏図
各階床伏図
小屋伏図
2面以上の軸組図
・縮尺
・構造耐力上主要な部分である部材(接合部を含む)の位置、寸法、構造方法および材料の種別
・開口部の位置、形状、寸法
構造詳細図 ・屋根ふき材の種別
・柱の有効細長比(令43条に適合していることを確認できること)
・構造耐力上主要な部分である軸組、継手または仕口等の構造方法
・外壁のうち、軸組が腐りやすい構造である部分の下地
・構造耐力上主要な部分である部材の地面から1m以内の部分の防腐または防蟻措置
使用構造材料一覧表 ・構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質
基礎・地盤説明書 ・支持地盤の種類および位置
・基礎の種類
・基礎の底部または基礎杭の先端の位置
・基礎の底部に使用する荷重の数値およびその算出方法
・木ぐいおよび常水面の位置
表-特例見直し後に必要となる図書(構造関連)一覧表





Midori Kitajima